毎週金曜日配信のTHE LAST PIECE(ラストピース 通称:ラスピ)を楽しんでいる。
ラスピは、SKY-HIさん率いるBMSGが主催する10代限定オーディション。
現在、Ep7 4次審査の結果発表と5次審査の様子が配信されている。
このオーディションには、一般からの参加者に加え、BMSG TRAINEE(トレーニー)という子達も多く参加している。
公式サイトの説明を読むと「レッスンを受けながらデビューを目指す研修生」とのこと。
これを見ての第一印象は、これだった。

BMSGにも、ジュニアみたいな子達がいるのねー!
ただ、ラスピを見進めていくにつれて、ジュニアとは大きく違うと感じた。
BMSG自体が「現在の芸能界へのアンチテーゼ」をベースにできた事務所だし、SKY-HIさん自身ジュニアだった経験も踏まえてトレーニー制度を設立しているであろうから、違いがあるに決まっている。
どっちが良い・悪いという話ではなく、個人的な感想です。
尚、私がこれから語る「ジュニア」とは、タッキー(滝沢秀明)を筆頭とした、黄金期の話であって、最近のジュニア事情についてよく知らない点は、ご承知おきください。
教育方針の違い
いきなり現場に放り出されるジュニア
ジュニアや、STARTO社のタレントさんがこんな話をしているのを聞いたことがあるんじゃないだろうか。
- 振付知らないけど、ライブに出るように言われた
- いきなりMステに来いと言われた
- 芝居やったことないけど、ドラマが決まった
タイプロでも、原君・寺西君が「そういう教育方針だから」と語っていた。
ジュニア全員がこれを体験したわけじゃないかもだけど、日常茶飯事だったんでしょうね。
実際、ライブ会場でも「あの子、振り入ってないんだろな~」ってジュニアの子を目にすることはよくあった。
START社は無茶ぶりばっかりしてる、ダメな場所か? と言ったらそうでもない。
TVの密着番組やバラエティでの語りで知る限り、レッスンの時間は取られている。
それに、100回の練習より、1回の本番から得られるものの方が大きい。
どれだけハウツー本を読んだって、自転車には乗れない。実際に乗ってみて、転びながら学ぶ方が会得しやすいように。
習うより慣れろ、見て覚えろ。OJTにたくさん時間を割いている、ということなんだと思う。
まずはスキルアップのトレーニー
STARTO社の方針は、人によっては「スキルもないのに、準備もできていないのに、ステージにに立つとは何事か!?」と、お叱り案件かもしれない。
私がもしジュニアだったと想像して、なんもスキルないのに舞台なんかに上げられたら、ビビッて何もできなそうだし、以後トラウマになってしまいそう。
こうした悲劇を回避するため……かどうかはわからないが、トレーニーはスキルを上げることに重点を置いている。
歌、ダンス、見せ方、すべてしっかり訓練されている子達、という印象がある。
合宿も開かれているようで、丁寧に育成している印象がある。
「デビューしていない」という点で見れば、似た環境にいある子達だろうけど、アプローチがこんなに違う。
ただ、どちらのファンも成長を温かく見守っていて、将来が楽しみな子達であることは確かだ。
魅せ方の違い
ジュニアはエンターテイナー
START社のタレントは、「エンターテイナーであれ」と求められている。
平たく言えば、「いかにファンの子に、キャーキャー言われるか?」が至上命題。
「キャーキャー」言われるためには、必ずしも歌、ダンス、お芝居がスキルは高くある必要はない。
髪型、表情、キャラ付け、ファッション、ステージでどんな振る舞いをするのか。
STARTO社の子たちは、「いかに自分を魅力的に見せるか?」に重点を置いている。
もちろん、歌・ダンス・芝居等も上手いに越したことはないから、それも一生懸命やっているけれど、優先順位が低い。
中島健人君の「セクシーサンキュー」が、わかりやすいと思う。
これは中島君が、自分の魅せ方を必死に研究したからこそ、できた発明品だと思う。
そして、彼はちゃんと歌もダンスも芝居だって上手い。
タイプロで原ちゃんも言っていた。
「俺たちと他の候補生の違いは、常に人から見られているという意識があるか・ないか」
「ドームに立てば360度から見られている。袖にはける時だって見られている」
(だから気を抜く瞬間がなどなく、どの角度からもかっこいい自分を魅せられるかを考えている)
あそこは人数く、そうでもしないと目立てない、見つけてもらえない環境だからなおさら。
常に自分の魅力について考えながら、現場の経験を通してスキルを高めながら、人を楽しませようと走り続ける人たちだ。
トレーニーはアーティスト
対して、トレーニーたちは「アーティストであれ」と求められている。
まずは音楽があり、それを表現するために、歌・ダンスのスキルが必要で、そこに向かっていく。
高いスキルで圧倒できて、魅せることができれば、それは素晴らしい。
ただ、見ている側はスキルを愛するのではなく、アーティスト個人を愛するはずなんだ。
人間的な魅力だったり、なんなら弱みなんかも見せてほしいと思ってしまう。
ラスピを見ていると、スキルを上げることばかりに注力して、「自分の魅せ方」が確立されている子が少ない印象を受ける。
スキルを優先するあまり、自分の魅せ方が置いてけぼりになってる。
自分の魅力について、悩んじゃってる子もいる。
すべてのスキルが高いKANON君ですら「自分のパフォーマンスを、受信した側が何を感じるか? 想像しながらやってほしい」と指摘されるくらい。
#7で、REN君がが、ボイストレーナーのりょんりょん先生に相談する場面がある。
りょんりょん先生曰く
「真面目に練習することばかり考えてる」
「お客様を喜ばせる、夢を見させる方にいってほしい」
「モテるとか、ロマンティックな部分が抜けている」
という話をされていて。

そう!! それー!! りょんりょん先生さすが!!
と手を叩いてしまった。
GOICHI、RAIKIは、自分の魅せ方をよくわかっているなーと感じる。
魅力爆発させてほしいのは、TAICHI君。彼を見ていると、自信を持てずにいたノノガのCHIKAを思い出す。
彼が自分の魅せ方をつかんだら、誰も目が離せなくなるはずなのに~! と毎週ヤキモキしている。
RUI、TAIKIは、自分の魅せ方をわかっている上、これまでやってきた物語も背負って、存在感がすごい。
KANON含めて3人が落ちることはないだろうが、早く晴れ姿が見たい。
STARTO社では、こういう「当確」の子が、デビュー組から漏れることもザラにあって、よく涙したものだけれど、BMSG・SKY-HIさんは大丈夫だろうと思ってる・・・大丈夫だよね???
10代のゆらぎの中にいる少年達への考え方の違い
ラスピは10代限定のオーディションだけあって、変声期真っただ中の子、見た目が幼い子、心身ともにこれからどう化けるか、未知数の子もたくさん参加している。
ここへの対応もかなり違う。
心身の成長を優先するBMSG
ラスピでは「今デビューするのは適切ではない」として、落選した子が多くいる。
今の曖昧な魅力や可愛さばかりを取り沙汰されるのは、アーティストとしてもったいない、という理由だ。
じっくり、心と体を育てましょうというのは、大人として素晴らしい姿勢だと思う。
THE FISRTでRUIを落選させたのは、素晴らしい判断だったと思う。
でもさ、彼らは今、デビューしたくて、オーディションを受けに来てる。
「10代限定」と銘打ってぶち上げたオーディションで、若さを、幼さを理由に落とされるのは、辛い。
RUIは4年間耐え抜いて、今回のオーディションまでこぎつけることができたけれど。
次のオーディションをやるか、グループを出すかは未定だと、SKY-HIさんも言っているのになあ。
旬をしゃぶりつくすSTATO社
対して、STARTO社は、旬をしゃぶりつくす。
かわいい見た目、変声期前のソプラノボイスを生かした子を、とりあえずデビューさせてしまう。
Hey Say Jump! の中島君、藪君、八乙女君、知念君あたりがそうだった。
この曲のラストで、知念君のソプラノが聞ける。
その子の、その時の魅力は、今しか見れないから。「後で」はないのだ。
だから、ゴリゴリに押し出していく。決して褒められたことではない。
ただ、ゴリゴリに押された少年たちは、旬をすぎて終わってしまったか? と言われたらそれは違う。
彼らは、立派な大人になって、新しい自分の魅力で勝負している。
大変だったと思うし、苦労もしたと思う。
けれど、図太く生きぬいて、戦い続けられる可能性やポテンシャルを、見逃しているかもしれない。
最近のジュニアで、幼い子はあまり見かけないあたり、STARTOの体制になってからは、方針を転換しているかもしれませんね・・・前社長の件もあったし。
話は脱線するけど、三浦大知君はとても大切にされていたように思うし、本人もよく生きぬいたなーと思う。
旬も逃さず、変声期で声が揺らいでいた時期も定期的に活動して、ソロで再デビューまで。
才能はあったけど、メンタルも強かったし、周りにも恵まれたのかなーと思う。
どっちが幸福だろう?
ラスピでは、SKY-HIさんが候補生に対して丁寧にフィードバックをしている。
ここが良かったよ、足りなかったよ、ここが課題だよね・・・具体的に言ってくれるのって、候補生としてすごくありがたいだろう。
でも、これ見てて、ちょっと苦しくなってしまうこともある。
SKY-HIさんに「良かったね」と褒められれば、嬉しいだろう。もっと頑張ろうと思うだろう。
足りなかった部分や、課題をクリアしたらデビューできるか? といえば、そうではない。
努力して、高めて高めて高めつくした先に、何もなかった・・・というのは、一周回って残酷じゃなかろうか。
ラスピEp6、SKY-HIさんが、バスケットの超ロングシュートを、39投目にしてゴールするシーンがある。
そして「諦めなければ、いつかいける」と言う。
それはそうなんだけど・・・みんながみんな、そうじゃないよ、とも思ったりする。
じゃあ、STARTO社がマシかと言われれば、決して、決して! そんなことはない。
ジュニアの方が圧倒的にイバラの道だ。
人数も多いから抜きんでるのは難しいし、丁寧なFBなんて受けられない。優遇される子・不遇な子と格差も激しい。
多くの時間を費やした結果、デビューできずに退所した子もたくさんいるのは、ジュニアも同じ。
そういう環境だからこそ、早々に諦めも着く。
箸にも棒にもかからなかったわ~! って、早いうちに、次の人生に進むこともできる。
時に「誰かのせい」にして諦める方が、楽だったりもする。
でもSKY-HIさんは違うんだよね。
「諦めた方が楽さ 諦めたくはないんだ」と歌って、少年たちを鼓舞する。
私は意思が弱いし、人生後半に差し掛かってからは、諦めることで生きやすくなったところもある。
だからこそ、諦めずに、血から強く夢に燃えてる子達を見るのが、とても眩しい。
トレーニーは、歌やダンスのレッスンだけでなく、人間性も高くあれ、と求められている。
勉強もやるように指導されているし(成績は高くある必要はないが、勉強を通じて得られる考える力は必要)、この高い知性・人間性があれば、自分なりにきちんと折り合いをつけて、美しく、前向きに夢の帆を下ろすことができるんだろうか?
そうだったらいいなと祈りながら、今後もラスピの配信を見ていこうと思う。