おひとりさまに医療保険は必要ない理由6選

お金

「私は、医療保険に入ってないよ」という話を友人にしたら「え!! もしもの時は、どうするの??」と驚かれました。
気持ちはわかります。数年前の私も同じように考えていましたから。

でも、その考えは父を病気で亡くした時に、180度変わりました。
安心をくれるはずの医療保険が、何ひとつ役に立たなかったからです。

その時の経験を踏まえ、私が医療保険は必要ないと理由を6つ、挙げていきます。

入院保障は、退院してからでないと請求できない

家族が入院して、最初に心配になるのは治療費のこと。
父も私も雀の涙程度の貯金しかなかったので、真っ先にアテにしたのは、父が入っていた2種類の保険でした。

保証内容を確認して、入院日額〇〇円の記述があって、ホッとしたんです。
ひとまず、当面はなんとかなりそうだと。

お恥ずかしながら、世間知らずの私は知りませんでした。

「入院日額〇〇円」とか、「入院期間の生活費も保障します」とかあるアレは、退院して入院日数が確定した後に、主治医のお医者様に診断書を書いてもらってからでないと、請求ができないということを。

ちなみに、お医者様に診断書を出してもらうのに1週間程度、保険会社からお金が入金されるまで1カ月程度かかりました。

特例にもよるでしょうし、最近の保険は入院中でも適用されるものがあるかもしれませんが、健康な時に確認しておいた方がよさそうです。

父が入院して1週間して、最初の治療費の請求がありました。10万円程度でした。
この時は貯金から支払いましたが「もし、このまま入院が長引いたら、どうやって支払っていくんだろう?」 と眩暈がしたのを覚えています。

がん保険は、がん以外の疾病には適用されない

がん保険は、その名の通り「がんになった時に」保障される制度です。
そりゃそうでしょと思われると思うのですが、いざとなるとショックなものです。

父が入っていた2種類の保険のうち、1つはがん保険でしたが、父がかかった病気はがんではなかったので、がん保険は何の役に立たないことが判明しました。

頼みの綱の保険が2種類とも、今、この瞬間の私たちを助けてくれるものではなかった。
私は当時働いていましたが、父の入院費まで賄えるほどの稼ぎはなく・・・途方にくれました。

高額医療費制度と、高額療養費資金貸付制度に助けられた!

これからかかるお金の問題に顔色悪くしながら、私は病院の受付の人に相談したところ、高額医療費制度の事を教えていただきました。

高額医療費制度というのは、一定額を超えた医療費は公的医療保険から支給される制度です。

画像は厚生労働省の資料から引用

高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省

上記の図の通り、例えば100万円の医療費が発生したとしても、自己負担額は約87000円程度になるということです。
ああ、これでなんとかなりそう・・・と、希望の光が差したような気持になったのを覚えています。

高額医療費制度を使う時の注意点

高額医療費制度は素晴らしい制度ですが、いくつか注意点もあります。

  • 高額医療費の申請に領収書を求められる場合がある(上記の例で言うと30万円は、一旦、病院に支払う必要がある)
  • 実際の支給までに時間がかかる
  • 差額ベッド代や食費、先進治療費等、対象にならない費用もある

私の場合、領収書がなければ請求できなかったので、これまた困ったのですが、貸付制度というものがあることも教えてもらえました。

高額療養費資金貸付制度とは?

高額療養費資金貸付制度とは、高額医療費の9割を無利子で貸し付けを受け、直接病院に支払われる制度です。

高額医療費が返済に充てられるので、返済する必要はありません。
9割を前借りする制度ということです。

上記の場合ですと、貸付で借りられる金額は

212,570 × 0.9=191,000円(千円未満切り捨て)

実際に窓口で支払う金額は

87,400円(自己負担限度額)+21,570円(貸付られない1割分)=108,970+α(食費や差額ベッド代等)

これで、一旦、病院に支払う金額の負担が減り、高額医療費が支給されるまでのタイムラグの問題も解消されました。

私はこの高額医療費制度と、貸付制度を使って、毎月7万円程度を支払うことで、なんとか回していけることになりました。

下がったとはいえ、毎月7万円は大きな金額です。
その上、父の病状は悪化、認知症の症状が出てしまい、入院しているのに看護にあたらなければならない事態に。
私はまともに仕事に就けない状態になりました。収入を断たれて、再び、お金に悩まされる事態になりました。

結局、現金が最強

父子家庭の私、一人では抱えきれないと判断して、親戚を頼りました。
父の介護と、当面の生活費と医療費の支払いの補強として、100万円ほど借りました。

結局、現金が最強なんですよね・・・貯金の大切さを痛感した瞬間でした。

ここまで何の役にも立たない! と思っていた医療保険はここで役立ってくれました。

親戚にお金を借りたいとお願いする際「退院したら医療保険が下りるから、すぐに返済できる」と、保険証を見せながら説明したところ、快くお金を貸してくれました。

入院1日あたり〇〇円も要注意

ちょっと話は脱線して、私が骨折で入院した時の話。

私自身も医療保険に入っていました。
「入院1日あたり〇〇円」ってという保障があったので、

「あー、父の時とは違って、初めて保険のお世話になれるなあー!」と思っていたのです。
保険証書をよく読んでびっくり。こう書いてあったんです。

入院5日目以降、1日あたり〇〇円

私は入院したの3日間だけだったので、入院については何も保障されませんでいた。
なにこれ!? 保険料取るだけとって、なんも守られないじゃん!?!? と、怒りすら沸いた記憶があります。

最近のお医者さんは、あまり入院させないという話も聞きます。
知人が胆石を取る手術をした時も、術後すぐに退院となったそうで・・・継続的な治療が必要でない限りは、とっとと退院させてしまう方針なのかもしれません。

それを受けてか、医療保険の方も「入院が決まったその日から!」というタイプも増えているようですね。

保険に入るくらいなら、貯金や投資に回した方がいい

父の入院の経験を経て、健康を損なった時の対策としては、現金が一番だと痛感しました。
私にとっての父のように、お子さんや配偶者のいる方でしたら、保障のしっかりした保険に入った方が選択肢が広がるでしょうが、おひとり様に医療保険はいらないです。
40歳になった時、その時加入していた医療保険が満期になったので、それ以後、医療保険に入るのを辞めました。

最初の頃は、保険のない状態はやっぱり怖くて、新たな医療保険の見積りを出してもらったり、掛け捨ての共済保険に入っていた時もありました。

でも冷静に、父の時の経験を思い出しながら考えると、

「保険の掛け金を、貯金や投資に回した方が自由度が高いし、増えそうだし、安心につながるんじゃない?」

という結論にしか、なりませんでした。

長い間、保険があって当たり前の時間を過ごしてたせいで、価値観を書き換えるまでには時間がかかりました。
それに、「保険に入ってさえいれば、もしもの時のことを考えなくてよいから、楽ができる!」と、思っていた節がありました。

まるで、保険に入っていれば病気にならないとか、保険に入っていれば保険料でその病気が治る とでもいった幻想のような気もします・・・保険は病気を治してくれないのにね。

そんな幻想にしがみつくくらいなら、しっかり貯金して、健康にも気を付けて、毎日楽しく暮らした方がいいなと、思っています。


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